No.7 王と台輔 「主上、王と台輔というのはどのような関係かご存知ですか？」 突然、振られた質問に陽子はちらりと考える。 だが、一般的な答えしか思い浮かばない。 「国の頂点と、その補佐…じゃないのか？」 その言葉に景麒は頷く。 「ええ、そうでもあります」 だが、言外に他の答えもあると匂わす景麒に陽子は首をかしげた。 「他にも何かあるのか？」 促す陽子に、景麒は満足そうに首肯する。 ……そして、キラリと目が光ったのは気のせいではなかった。 景麒は拳を握り締めると、猛然と語りだした。 「王と台輔の関係というのは、あいどるとふぁん倶楽部会長のようなもの。もしくは、あいどるとそのまねぇじゃぁ！ ですから、主上に寄り付く悪い虫は追い払わなければなりません！ 私が主上のことを一番良くわかっているのです！」 どこからそんな知識を手に入れたのだか。陽子はしばしの間、固まってしまった。 だが、景麒の恥ずかしそうに口にした一言で我に返る。 「め…夫婦（めおと）でもいいんですよ？」 上目遣いにこちらを見つめる景麒に、陽子はにっこりと笑った。 だが、その口からこぼれた言葉は全く反対だった。 「ふざけるな」 笑顔との対比がもの凄く素晴らしかった。 景麒は瞬時に床に崩れ落ちた。 「主上〜…」 さめざざめと嘆き悲しむ姿に、声が落ちる。 「…全く。ほら、行くぞ。……私の妻なんだろう？」 即座に顔を上げれば、陽子が苦笑して景麒を見つめていた。 妻ではなく、夫です。と一瞬頭をよぎったが、そんなものは些細なものだった。 景麒は即行で立ち上がると、部屋を出て行く陽子の後に着いていった。 夫婦というよりは、飼い犬とご主人様のようである。 |
ん〜…。どうしても景麒がアホになってしまうんですが。(笑)
ま、私の中では正しいのでいいですか！