「No.4：主従関係 円満のコツ」を読んでからの方が良いかも。
No.11 日常風景 今日も今日とて、陽子は街へと繰り出そうとしていた。だが、騎獣の用意をしている所で景麒に見つかってしまう。 視線と共に、ふうっとため息を一つこぼされた。 「主上…。ご存知の通り、私は二王に仕えました」 「何だ突然」 現れた途端、いきなり語りだす景麒に陽子は不審な目を向けた。しかし、景麒は全く構わずそのまま続ける。 「しかも、先の王は私を置いて逝ってしまわれた」 空を見つめながら語る姿に、陽子はいらついたように景麒をにらんだ。 「何が言いたい」 陽子の視線を受け、景麒はもう一度ため息を吐いた。 「ですから、私は主上が出かけられるたびに…」 前置きをしてから、胸の前で両手を組む。 「主上は再び私の所へと帰って来て下さるのだろうか……と、いつも思っているんです」 目を輝かせ、乙女のような物言いに脱力しかけた。だが、陽子とて負けてはいられない。 王気が満ち溢れた笑顔を作ると、にっこりと微笑みかけた。 「そうか、心配をかけて悪かったな。だが、私はお前の所に帰ってくる。予王とは違うんだ」 「主上……」 その言葉に胸で手を組んだまま景麒は感動した。 しかし、それも束の間。すぐに現実に引き戻される。 「という事で、じゃ！」 「はっ！」 気がつけば陽子は空を翔けていた。 「主上〜っ！」 声の限りに叫ぶがもう遅い。ただ楽しげな声が返ってくるだけ。 「おみやげ買ってくるから〜っ！」 「そういう問題じゃありませんっ！」 結局、懲りずにまた騙される景麒であった。 |
訴えても無駄に終わる景麒でした。(笑)