| 007：毀れた弓 何度矢をつがえても真っ直ぐに飛ばない。 …飛ぶはずがない。 俺は…毀れた弓なのだから。 『ナルトが死んだ』 そう一言だけ伝えられた。 だが、その短い一言がどうしても信じられなかった。 「は…っ、何を…言っている…？」 動揺を隠せず、目の前の男の胸倉を掴み上げた。 だが、否定の言葉は返ってこない。 銀髪のかつての上司は胸倉の手を掴むと、目を合わせながらはっきりと応えた。 「事実だ」 掴まれた手に強い力を感じた。 この男とて信じたくはないのだろう。 「く…っ」 何も言えず、ただ手を振り払ってその場を離れた。 信じたくはない。 だが―――――…事実なのだろう。 一人になってやっと冷静になった。 どうしても符合がいかない。 何故突然？ 任務中に命を落とすことは多い。 それは忍びにとって避けることは出来ない事実だ。 だが、今回はそういった類ではなかったはずだ。 ずっと一緒にいたんだ。 内容は知らされなくても雰囲気で何となくわかる。 「…調べる必要があるな」 一言つぶやき、その場から消えた。 ポタリ、ポタリと手にしたクナイから血が滴り落ちる。 足元には既に絶命した人の塊が二つ。 「…死をもって贖え」 落とされた言葉には何の感情も見えない。 瞳は何も映しておらず、ただ次なる標的へと向かう。 ――――ナルトは謀略によって殺された。 その事実はすぐに知れた。 予想していた通りだった。 体中をドス黒いものが駆け巡った。 抑えられるはずもないのにスイッチを入れた屍と化した二つの塊。 『化け物のくせに――…死んで当たり前だ』 勝手に身体が動いた。 気付けば首を二つ飛ばしていた。 当然、そのままで終わるはずはずはない。 うちはの暴走に里中が騒然となった。 だが、もう遅い。 謀略にかかわった最後の一人は今この手に落ちた。 「サスケッ！」 カカシの呼び声にニヤリと笑った。 「木の葉に使われるのはもう御免だ…。この目も…」 両目を抉り出すと、体中を炎で包む。 「渡さない―――…」 手の中の二つの球体を握りつぶし―――…この世から消え失せた。 毀れた弓は元には戻らない。 射られた矢は方向を変え…射士へと向かう…。 |
ダークで、ごめんなさい。(^_^;;
またもやナルトを死へ追いやってしまいました。
でも、このお題はどうしてもサスケの狂気としか繋がらなくて…。