020：合わせ鏡 「あの、バカカシっ！」 憎まれ口を叩きながら家路を急ぐ。 任務終了後、いつものようにナルトとサクラと3人で帰ろうとした所―ナルトはみんなで帰るのが好きだ―、俺だけカカシに呼び止められた。 何となく時間がかかりそうな気がして、2人を先に帰らせたら案の定。何だかんだとくだらない用事を押し付けられ、かなりの時間拘束された。 しかも、ナルトの家に行く約束をしていたから途中何度も帰ろうとすれば、 「別にナルトに頼んでも良かったんだけどね〜」 などどふざけた事を抜かしやがった。しかも、ニヤリと人の悪い笑いつきで。俺がそんな事をさせる訳がないと十分に分かってやっているからたちが悪い。 ナルトは意外にも個人的に頼まれたことは嫌な顔一つせずに引き受けてしまう。たぶん、めったにない事だから嬉しいのだろう。当然、ナルトが頼まれても俺は手伝うから同じといえば同じだ。だが、イルカ先生ならともかく、カカシの手伝いなんぞさせたくもない。 「……ムカつく」 ナルトの嬉しそうな顔を想像したら、即座に眉間にシワが寄った。何で他人が喜ばせるんだ。そんなもの、俺だけで十分だ。 「ふぅ」 思わずため息が出た。 ナルトと出会ってから、知らなかった自分が見えてきた。 他人に感心など持てないと思っていたのに、感心どころか激しい独占欲が働く。暗い感情しかないと思っていたのに、温かい感情や嬉しさ…愛しさを知った。 「ナルトっ！」 ようやくたどり着いて、ノックもそこそこにドアを開け放つ。 狭い部屋からは食事のいい匂いと、ナルトの驚いた顔が飛び込んできた。しかし、それも一瞬。ナルトはすぐに破顔した。 「おかえりってばよ、サスケ」 「ああ、ただいま」 すぐに、俺も同じ顔で返す。 そして、改めて思う。 ナルトと出会って知らない自分を知った。 人を好きになれる自分を。 |
久し振りの更新です。相変わらずサスケはナルトを愛しているなぁ。(笑)
あの…これ、まだ下忍時代なんですが…。(苦笑)