『風花』 ひやり、と突然ほおを掠めた何かにナルトは空を仰いだ。 視線の先は青空。 しかし、小さく冷たい綿が舞っている。 ナルトはそれを眺めながら首をかしげた。 天気雨なら己でも知っているが、雨ではなく雪は初めて見る。 「晴れてるのに雪が降ってるってば…？」 ナルトのつぶやきに隣を歩くサスケも天を仰いだ。 確かに青空の下、こまかな雪が舞っている。 「あぁ、これは風花だ」 「風花？」 耳慣れない単語に、ナルトは視線だけをサスケに向ける。 「雪の積もった風上から、風に乗ってくる雪のことだ」 「ふ〜ん…」 説明を受けて、ナルトはもう一度天へと視線を戻す。 しばらく二人して風花を眺めていたが、不意にナルトがポツリと言葉をもらした。 「何か…想いを飛ばしているみたいだってば」 「そうだな…」 静かにうなずくサスケにナルトはもう一度つぶやく。 「…俺も飛んでくるってば」 「…？」 言葉の真意がはかれず、ナルトを振り向けば視線がかち合う。 「もし、俺がサスケの知らない所で死ぬなんて事があったら…俺を忘れないでって…」 「忘れるわけがないだろう」 サスケの断言にナルトは嬉しそうに笑う。 そして、用意された答えが聞きたくて問いかける。 「サスケも来るんだってばよ？」 「あぁ、必ず飛んできて…お前をさらっていく」 ニヤリと不敵な笑いとともにもたらされた予想以上の答えに、ナルトはよりいっそう深く笑った。 |
『風花』っていうのは、いつかは使ってみたい言葉でした。
ずっと、冬の終わりに起こるものと思っていたのに、
実は初冬に起こるものと知ってかなりあせったんですが、何か大丈夫でした。(笑)
今に始まった話ではないですが、乙女チックナルト…。何でだろう…？