天体観測――おまけ


　翌日、相変わらず集合時間に遅れてきたカカシにサスケとナルトは呼ばれた。
「サスケ、ナルト。ちょっとこっちに来なさい」
　いつも飄々としているカカシが、仁王立ちになって厳しい顔をしている。
「……」
「何だってばよ？」
　サスケはともかく、訳が分かっていないナルトは素直にカカシの元へ行くと、疑問を口にした。
　そんなナルトに表情は崩さず、カカシが口を開く。
「昨日、イルカ先生とイチャイチャしていたら、とある店から呼び出しがかかった」
　言っている言葉はもの凄く不真面目としか言いようがないのに、ナルトの表情が一気に凍った。即座にうつむく。
　それとは反対に、傍らではサスケが不機嫌丸出しでカカシを睨んでいる。
　カカシは二人をちらりと見ると、そのまま話を続ける。
「お前たち、店の壁にヒビを入れたんだってな」
　淡々と話すカカシとは逆に、ますます二人の表情は変わっていく。ナルトは青く、サスケはどす黒く。
「それで、だ。お店の人に、理由はなんだったんですか？　って丁寧に聞いたら、大した事じゃないので弁償はいいですって言ってたぞ」
「え……っ？」
　てっきり叱られると思っていたナルトは、驚きに顔を上げた。カカシを見れば笑っている。
「だから、ま！　いいでしょ」
　くしゃりと頭をなでられて、ナルトはようやく笑った。
　それに安心してサスケがボソリとつぶやく。
「……当たり前だ」
　ひとり言のつもりの言葉は、カカシの耳に届けられた。
　カカシはサスケに向き直ると、ニヤリと笑った。
「ま！　ちゃんと謝っておいたからいいでしょ」
　その言葉の裏を読み取り、サスケもニヤリと笑った。
「そうだな」
　丁寧に下手に出つつも脅し、謝りながらもちゃんと怒りをぶつけてきたのだろう。

END
2007/09/12
（初出：2004/05/09）

NARUTO書き下ろし本、『天体観測』より。
腹黒カカシさん。たぶん、イルカと共に怒りMAX。