友達以上…？ 喧嘩ばかりしているナルトとサスケだが、実際の所そんなに仲が悪いわけではない。喧嘩は二人にとって一種のコミュニケーションだった。 現に、休みの日ともなればナルトはサスケの家に入り浸っている。 名目上は修行と忍術の勉強という事で。 では二人の関係を友達と位置付けるのかと言われれば、多少疑問が残る。 仲間ではもちろんある。ライバルでも。しかし、友達であるかと問われれば応であり、また否であった。 友情は存在していた。だが…それ以上のものまである事に二人は気付き始めていた。 もう恒例になってしまったサスケの家での勉強会。 黙々と術の練習をしていたナルトが、ふと言葉をもらした。 「なあ。サスケってば、キスってしたことある？」 ナルトの問いに読んでいた忍術書から顔を上げると、サスケは実に簡潔に答えた。 「ある」 予想していなかった答えにナルトの胸がドキリと鳴った。だんだん早くなる鼓動をごまかすように必要以上に騒ぎ立てる。 「え！？ ウソ！ 誰とだってば！」 「お前」 だが、返ってきた答えに一瞬にして脱力した。そして同時にホッとする。そんな自分にナルトは戸惑った。 最近こういうことが多かった。 その戸惑いをうまく隠すことが出来ず、動揺してしまう。 「バ、バカッ！ あれは違うってばよ…！！」 「じゃなかったら、何なんだ」 焦るナルトとは裏腹にサスケは冷静に返した。 「く…口と口がくっついただけだってばよ…」 「それをキスって言うんじゃないのか？」 ナルトはそれ以上返す言葉がなく、黙り込んでしまった。しかし、静かだったのはほんの数秒。 「もう、いいってばよ！ サスケのバカっ！」 盛大に爆発すると、足音荒く出て行ってしまった。 ピシャンッと玄関を力いっぱい閉める音がしたかと思うと、やがて静かになる。 ナルトの気配もしなくなった頃、サスケは手にしていた忍術書を床に放り投げた。そして、頭を抱える。 「それはこっちのセリフだ、ウスラトンカチ…」 想いを自覚始めたばかりなだけに焦った。平静にしているつもりだったのに、サスケは一瞬見透かされたのかと思った。 「本当にしてやろうか…」 出来るはずもないのだが、呟くくらいは良いだろう。 今はまだ…伝えられないから。 |
Skoop On Somebodyの『想い』という歌を聴いて、
「こ…これはサスナルじゃ〜！」と思ってしまい、妄想。
しかし、思ってから完成までが長かった…。
とにかく、完成して良かったです。相変わらず短いけど…。