優しい独占者 『あなたの周りで一番独占欲の強い人は誰でですか？』 任務の帰り、７班メンバーとイルカ（カカシに半ば強引に連れてこられた）と５人で一楽でラーメンを食べている時、テレビからそんな質問が聞こえてきた。 それ程めずらしい質問でもないが、カカシは気に入った様子で目の前のメンバーに問いかける。 「この中で一番はだ〜れかな〜？」 誰といいつつもその視線はサスケに向かっており､ナルトとイルカも無言で視線を投げかけていた。 イルカにいたっては内心カカシも人の事を言えないと思っているが…。 しかし、それを否定したのはサクラだった。 「あら、サスケ君じゃないわよ」 その言葉にカカシが興味を示す。 「へえ？ じゃあ、誰？ もしかしてイルカ先生！」 楽しそうにいうカカシのその言葉を、 「あなたに言われたくありません」 間髪いれずにイルカは一刀両断した。 誰一人とわかっていない様子に、サクラはふふふと笑うと意外な人物の名前を出した。 「ナルトよ」 その言葉にナルトをはじめ全員が驚いた。 「えぇっ？」 「俺なの？ サクラちゃん！」 「ふふ、そうよ」 サクラは断言するが、全員訳がわからない。 ナルトはどっちかっていうと独占欲とは縁がないように思えるが…。 そんな皆に向かってサクラは説明をし始める。 「サスケくんもカカシ先生も確かに独占欲強いと思うけどね…」 ２人に対して否定をしないところはさすがサクラ。 「でも、それが働くのって結局１人の人に対してじゃない？ だけど、ナルトは違うのよね。みんななのよ。自分が心を許した人全部」 言われてみれば納得である。 ナルトは普段疎外されているからなのか、１度自分の内に踏み込ませるとまず外へ追い出す事はない。 「確かにね〜。イルカ先生のこと大好きだし。他のヤツに至ってもそうだなぁ」 「言われてみればそうかも…だってば」 皆が納得するそんな中、サスケは少し不機嫌だった。 そんなサスケに対し、サクラはすかさずフォローを入れる。 「大丈夫よ。サスケくんとその他の人たちに対しては違う独占欲だから」 「…わかってる」 わかってはいても感情というのはどうにもならないもの。 こんなにもナルトに対して独占欲が強いというのに、その当のナルトに勝てないのがサスケは少し悔しかった。 |